中吊り広告が実は凄い理由

広告っておもしろい

 特に効果が高いと言われている広告には電車などの中吊り広告があげられます。「中吊り広告」とは、電車内で天井からつるされた広告のことをいい、定置式の紙媒体としてはもっとも更新頻度の高いもので、2~3日のスパンで次々と新しいものに差し替えられていきます。このため、中吊り広告は雑誌やセール・フェアといったリアルタイム性の高い告知に利用されることが多く、常に最新の情報が得られるため多くの人が注目します。

 交通広告の中でも車内広告は「少なくとも1駅区間以上、同じ人がひとつの広告に間近で接する」という空間的・時間的接触率が高く、その結果「到達力が高い」という特徴があります。

そして中吊り広告はその位置的関係で車内広告の中で最も注目率が高く、特に「満員電車で新聞やケータイを開くこともできない、他に目のやり場のない状態でも読める」広告として、高い強制視認性を持っています。

 これが、中吊り広告が「広告の基本」と呼ばれる理由です。

広告ってロマンチックっすよね

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中吊り広告が凄い理由

値段が安すぎる

 実は、様々な広告の中で最も経費対効果が高いのは電車の中吊り広告ではないのかと言われています。まずはその値段ですが、最も高い山手線で二日間中吊り広告を掲載すると2,700枚でシングル210万円、ワイド420万円という価格になります。窓上ポスターであれば、4、5日で1,250枚・シングル80万円、ワイド160万円という非常にリーズナブルな価格になっています。

 新聞の一面広告の料金が約5000万から2000万円なのを考えるとゼロが一つ低い上に新聞であれば一日ですが、中吊り広告であれば、最低でも2日はこの値段で掲載してくれるということです。また、ドアに貼ってあるステッカー広告に関しては二ヶ月単位の支払いで480万円~680万円の価格、車内で流れるデジタル広告15秒であれば、山手線/中央線/京浜東北線/京葉線/根岸線が全部セットの上、15秒のコマーシャルを七日間ながせて430万という超格安です。新聞やテレビでは数千万から数億はくだらない内容をわずか数百万で流せるというのはあまりにも安すぎだと言えるでしょう。ちなみにこの価格ですが、印刷加工費、施工費、東京都23区への申請費、野外広告協会審査料が全て込みとなっています。

広告の効果も高い

 安くても効果が無くては意味が無いと感じた人もいるかもしれませんが、実は広告効果も非常に高い結果が出ています。まず電車内の広告に対して親しみが持ちやすいかのアンケートに関して全体の64.4%以上の回答者がはいと答えているそうです。これはネット広告は4%である上、テレビ広告人気度10位の広告で23%、好感度二位のソフトバンクモバイルのコマーシャルが65.3%なのを考えると異例の数字です。また、広告を見て実際に何らかのアクションを起こす人の割合も40%とかなり高いです。ちなみに、実際にそれを見て詳細をネットで調べた人は17%、購入したい利用したいと思った人は12%、また家族や友人などと話題にしたという人が11%と何らかの行動を必ずと行っていいほど行っており、広告としてはもっとも経費対効果が高い広告だと言えるかと思います。

隅々までじっくり読んでもらえる

 多くの屋外広告は人々が移動中に目にするため、よほど一瞬で興味をひかない限り、人は通り過ぎてしまいます。また広告と目の距離が遠いため細かな文字を読んでもらいにくく、ポスターなどでは少ないキャッチコピーで「イメージを伝える」ということに注力しなくてはなりません。

 これに対し中吊り広告は静止接触時間が長く、目と広告の距離も適度なので「少々文字が多くても隅々まで読んでもらえる」という特徴があります。雑誌や書籍の中吊り広告に多くの見出しが並んでいるのもこのためです。

このように、中吊り広告には「眺める」ではなく「読ませる」力があるのです。

心理的要素でどうしても見てしまう

 中吊り広告が広告効果が高いと言われている理由の一つには電車という閉鎖空間がもたらす心理的な要素がとても高いと言われています。特に閉鎖空間などに多くの人がいるような状況だと、ストレスを逃すために意識を他に向けようとします。その結果、思いの外真面目に広告を読んでしまったなどという人や、そのストレスを逃すために見た広告に対して愛着を抱いたり、関心を寄せたりといった結果へとコミットしていっているということなのです。

凝ったビジュアルを使っても、その凝り具合まで詳細に眺めてもらえる

これは同様に、中吊り広告にはデザインに細かな文様を使うなど、「詳細に眺めてもらうことでその美しさが伝わる」という特徴もあります。大きな写真を掲載して、その細部まで眺めてもらうことも可能です。

雑誌広告などではこうした手法がよく用いられますが、接触時間の短いテレビコマーシャルや屋外広告ではほとんどこうした手法は使えません。そういう意味でも中吊り広告は稀有な存在です。

ユニークな中吊り広告

 一般的な中吊り広告は横型のB5ワイドサイズのポスターになっていますが、中には随分ユニークなものもあります。

たとえば、ケータイキャリアのソフトバンクは山手線内にプラスチックの立体物でJellyBeansという機種の中吊り広告を出しました。この他にも透明のビニールに印刷したり、模型や造花を添えたり、ニットやレース、カーペットといった素材を使って乗客に手触りを楽しんでもらったりといった手法が可能です。(鉄道会社によって規制が異なります)

珍しい例では、進研ゼミが本物と同様の「絵馬」をぶらさげたこともあります。

ユニークな中吊り広告は注目度満点ですが、一方で多くの人が触れやすい場所でもあるため破損や盗難の心配もないわけではありませんからその点だけは要注意です。

もっといい広告無いのー?

中吊り広告で大切なこと

 このような数々の特徴がある中吊り広告だけに、制作にはいくつかの注意点があります。

 ひとつは、多くの人に細部まで鑑賞される媒体なのでレイアウト、配色、写真やコピーのクオリティなど全体としての完成度が要求されること。

もうひとつは、中吊り広告はリーセンシ―効果が高いため、実際の商品とデザインの同一性を保つことです。

リーセンシ―効果とは、直前に接触した広告が消費者に与える購買行動の影響力のことです。たとえば「電車の中吊りで見た雑誌を、電車を降りてすぐキオスクで購入する」というケースなどはもっともリーセンシ―効果が発揮された例です。

しかし、消費者の多くは商品名を正確に記憶するのではなく、中吊り広告のイメージを漠然と記憶して購入に向かう事が多いので、雑誌であれば表紙のデザインとよく似たデザインを、商品であれば商品のパッケージやビジュアルをしっかり中吊り広告に反映させておく必要があります。それ故に、広告代理店に依頼して、しっかりとしたデザインの物を作らせるということも多くなってきております。

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